2025.7.5(Sat)! 新宿ACBHALL!
- 村山
- 7月14日
- 読了時間: 7分
よくぞいらっしゃいました。我がブログへ。ま、厳密にはSODA!の、ですけど。
SNSやショート動画のように、ただめくっていれば流れてくるものではなく、自ら足を運ばないと辿りつかないこのブログ。流行りとは完全に一線を画す、時代錯誤のこのブログ。
変わり者がいじめられたり、爪弾きにされるのは世の常。でもだからこそ、うらぶれた路地のほんの一画を照らす、陽だまりのような出会いもある。もし、あなたがこのブログを読むことで束の間の休息を味わってくれるのなら、このブログにだって少なからず存在意義はあるのかもしれない。
ということで、今回ご案内するライブレポートはこちら!ドドーン!

2025年7月5日は巷で噂の大災害の予言日。とりあえず何もないことを願い、14時20分、あたくしは一人、新宿は歌舞伎に位置する老舗のライブハウス、ACBホールを擁する雑居ビル前に到着する。ACBホールは地下2階にあるため、予言通り何か起こった場合は阿鼻叫喚間違いなし。なんならイーライ・ロスが出演するそんなパニック映画も観た覚えがある。
そんな記憶を一蹴し、件の雑居ビルに足を踏み入れるが、一旦その足が止まる。
階段部に敷かれたシミだらけの赤いカーペットには、汗や尿、吐瀉物やネズミの獣臭が程よく染み込んでおり、天女の舞に揺れる羽衣のように鼻腔をやわらかにくすぐってくる。
階段の壁にはライブを告知するポスターやフライヤー、ステッカーが重なりあうようにひしめきあっている。
誰かのやぶれた夢を覆うように、新しい夢が重なり、やぶれてはまた重なっていく。光も影も飲み込んできた老舗のライブハウスでは、地層のように夢や希望や失望や裏切りや妬みなどが折り重なっていくのだろう。
シミだらけの赤いカーペットが敷かれた階段を降りていく足音が鈍く響く。外は快晴にして14時を過ぎているっていうのに、陽も当たらず蛍光灯が白く灯る階段には、未だ夜の抜け殻が吹き溜まっているようだった。
地下2階分の階段を降りきった先にあるACBホールで実施される今回のイベントタイトルは『人類滅亡GIG』。
ホントに予言通り何か起こった場合はシャレにならないタイトルだが、ホントに何か起こった場合はそれどころではないので、結局はOKということなのだろう。
そうこうしている間にSODA!のメンバーは揃い、リハを終える。
リハの後は、コーヒータイムのために、暑さと欲望が蔓延る歌舞伎町へ繰り出すことにする。
基本メンバーは皆コーヒー好きなので、リハ後はもちろん、地方への移動中もサービスエリアの一画にコーヒーショップがあれば、そこでコーヒーを購入するのがルーティンになっている。※浅野はカフェインが身体に合わないため、デカフェ専門。
コーヒーショップを探しつつ、新宿歌舞伎町をあてどもなく歩いていく。浅野はド派手な格好をしているのだが、反応する人はそんなにはいない。都会の人は無関心、とよく言われるが、歌舞伎町のような刺激的な街では、少しくらい無関心な方が歩きやすいのだろう。
少し前まで東横キッズたちがたむろしていた広場の向こうにスタバを見つけ、一行は心地よく冷えた店内に身を滑り込ませる。さっきまで我がもの顔で体にまとわりついていた熱気が所在なく霧散していくのが気持ちいい。
各々注文したコーヒーを手に、店前のスペースに設置されたテーブル席に陣取ることにした。この時間、この場所はちょうどビルの影に入っているため過ごしやすい。外のため多少の熱気はあるが、アイスコーヒーが喉を下り体内から冷やしてくれるため、それくらいはむしろ心地良かった。


目の前の広場では、ボウリングのレーンをひとつだけ敷いた何かのイベントであることをアナウンスしており、海外からの旅行客たちが不器用にボールを投げては倒れないピンを見て首をかしげていた。
アイスコーヒーを飲みながら、そんな広場を見るでもなく見ていると、いつものように会話が自然発生してくる。
始まったばかりのこのブログに対するアクセス数やその反応(これに関してはまた別の機会に書く)、あたくしが高円寺で立ち食いそば屋をオープンしたいという話、誰の将来に希望があって誰の将来に希望がないのか、デンタルフロスは毎日するか、など無責任にして取り留めのない話は止まることを知らない。
SODA!のメンバーには聞き役などは存在しない。持ち回りのように全員が喋り全員が聞く。そうして醸造される一体感。こういう雰囲気がそのままライブにも反映されることが多い、と個人的には感じている。まさに無駄話も無駄じゃない。(はず)
会場に戻り、今回初顔合わせにして出番一番手のハルカミライのスタートを物販コーナーで待つ。フロアより一段高いこの場所からはステージが良く見える。
普段のハルカミライは武道館やら横浜アリーナやら、ちょっと我々には縁の薄い、もとい現状では全く縁のない、ビッグな会場がメインステージなんだと、SODA!のギターであり、仕事柄事情通でもあるスグルから聞く。そんな彼らが今回のような300人規模のライブハウスに出演するのは久々のことらしい。はたしてどんなステージを見せてくれるのか、好奇心がかま首をもたげる。
会場が薄暗くなり、楽器隊3人の音が先行して会場に響き始める。そこにおもむろに登場する赤い髪のボーカル。一声をあげ始まった途端、ステージと共に会場は一気に沸点に達する。会場はあっという間に熱気に包まれ、まさに気温も湿度も急上昇していった。ダイブの嵐がやまないハルカミライの爆発的な盛り上がりに、懐かしさや、焦りや羨望や妬みや若さへの嘲りや衰えていく惨めさなど、様々な感情がないまぜになり、胸の奥でマグマのように熱を帯び始める。そんなマグマの熱波に身を焦がされながらも、準備のために楽屋へ向かうことにする。出番、次だから。
楽屋に入ってみると会場と同じように熱気はしっかり隈なく行き渡っていた。ちゃんと確認はしなかったがクーラーも無く何故か扇風機も止まっていた(後に復活)。お陰で、楽屋で待機していた大先輩バンドのSAの皆様とは、初顔合わせにも関わらず「暑いね!ヤバいね!」と、一気に打ち解けることになる。
熱気に包まれるがままの楽屋では「ヤバいヤバいwwオジさんたち死んじゃうやつだよコレww」と汗を拭いながらずっとナオキさんが笑っている。
笑うしかない。そんな種類の暑さもあるのだ。
SAのギターであるナオキさんは、ご存知の通り元ラフィンノーズ。80年代のバンドブームを牽引した押しも押されぬバンドの代表格である。説明するでもなく、直撃世代のあたくしにとっては、実はかなりヤバい存在。37年前、中2だったあたくしの、あの時代の憧れのバンドマン!のひとりなのだ。ラフィンのライブ版の音源をカセットで繰り返し聴いた覚えがある。
そんなナオキさんがピンピンに跳ねたあたくしの髭を指さして言う。
「その髭本物?暑さでタラ〜っと垂れてくるんじゃないの!?ガハハハハ!」
ハスキーな笑い声につられてこちらも笑ってしまう。でもね、ナオキさん。あたくしのこの髭が垂れ下がる時は、あなたのそのトレードマークのスパイキーヘアも垂れ下がることになるのよ。

リハから観てくれていたSAのボーカル、タイセイさんからは、SODA!にはJAGATARAに近い匂いや懐かしさを感じる、なんて嬉しい言葉をかけてもらった。
ちなみに、ナオキさんは今回初顔合わせのハルカミライとSODA!の事前リサーチのため、YOUTUBEでいくつか動画を観てくれていた。「ハルカミライはすごいな!再生数200万回超えてんのよ!」
どえらい人気に我々オジさん達は笑うしかない。
「その後SODA!観たら再生数45回とかあって、なんか嬉しかったわww」
我々だって嬉しいですよ。ナオキさんのお陰で再生数46回になったのだもの。
出番が近づく中、メンバーは各自着替えやウォーミングアップを行う。特に打ち合わせをすることはない。
もちろん最初からそうだった訳ではなく、歌詞や曲の入るタイミングの確認をした事もあった。しかし、そんな時の浅野の返事は決まってこうだ。
「何? ビビってんの?」
いや、ビビってるわけじゃないけど。。。
「失敗したっていいんだよ!好きなようにやっちゃいなよ!」
一見前向きな発言ではあるが、ここまで腑に落ちない返事も珍しい。
ベースのゆっちゃんも、ギターのスグルもそんな浅野に違和感は感じないらしい。きっとおかしいのはあたくしなのだろう。
本番を前にウォーミングアップするあたくしの横で、浅野はギリギリ聞こえるような声で「ちょっと過去、ちょっと過去」と繰り返し呟いていた。たぶん彼なりのハルカミライの対義語のつもりなのだろう。
さあ、そしてSODA!のライブ、SAのライブ、FUCK YOU HEROESのライブへと続く訳だが、それはまた後編として、次のライブまでには書き上げようと思う。※8/9岐阜でライブです
今回は、面白いかどうかは別として、バンドのメンバーはライブ前、どのように過ごすのか、意外と誰も言及することのない、そんな時間にフォーカスしてみました。
また次回をお楽しみに。

GET POWER✊最高ぉ❤️🔥岐阜楽しみ😻